− 夏色模様 −
しばらく高速を走っていたバスが、サービスエリアに停まった。
朝も早かったせいか、ほとんどのヤツが夢の世界。
音を立てず、立ち上がった。
トイレにでも行ってくるかな……。 あと、1時間は休憩時間がなさそうだし……。
バスから降りた部員は極わずか。
手短に済ませ、バスに戻る。
ふと、木下先輩に目を向ける。
木下先輩を見れるのは、バスの乗り降りの時くらいだ。
今見ないで、いつ見るんだ!
「――― ッッ」
俺の足は、瞬時に止まってしまった。
なんなんだよっ、これ。 ある程度は予想していたさっ。
でも、こんなん……。
木下先輩が、前田先輩の肩に頭を乗せて眠っている。
前田先輩も、木下先輩寄りに目を閉じている。
二人は、付き合っているわけじゃない。
でも仮に“男”と“女”である。
こんなにもお互いが、許しあえる関係なのに“恋人ではない”なんて、おかしすぎる。