− 夏色模様 −
捺稀とそうこうしている内に……。
「ペットボトルー」
木下先輩が、横を過ぎて行ってしまった……。
俺はガックリ項垂れる。
「ドンマイ」
せっかく木下先輩に近づけるチャンスだったのに……。
後ろを振り向き、横を過ぎて行った木下先輩の背中を見つめる。
後ろまで行ったらしく、前田先輩となにか話しているみたいだ。
「雄飛…… お前、マジで片想いだな」
「なんとでも言えっ」
ドカッとシートに体を預けた。
さっき見た木下先輩は、髪を耳の下で縛り、前髪はをピンで止めてあった。
「いっくんっ!」
「ほら、躓(ツマヅ)くなよ」
後ろから二人の声が聞こえて来るから…… つい、耳を大きくする。
「ねぇねぇ!」
「ん、どーした?」
「今日ってなにやるの?」
「練習」
「楽しみー」