− 夏色模様 −
1日目⇒ 視線の先には。
荷物を部屋に各自置き。 体育館へと足を運ぶ。
ボールの弾く音が混ざり合う中…… 俺はつい、木下先輩を探してしまう。
束ねてある髪を揺らして走る姿に、見入ってしまう。
合宿に来る前。 桐谷先輩や、平本先生からよく言われていた。
“木下さんは、初心者だから助けてあげるように―――”
誰だって、初めは初心者。 でも、この時期だ。
木下先輩にしたら、3年のこの時期に“夏合宿 参加”はなんのメリットがある?
ただ、夏休みを無駄にしたようにしか俺には思えない。
バスケのルールを知らないなら、なおさら来たって意味が無い。
愛川先輩は去年参加し、夏休み明けもちょくちょくマネージャーとしてサポートしてくれた。
要領が全くわからない木下先輩がなぜ、合宿に参加したかはマジで謎だ。