− 夏色模様 −
そもそも俺は木下先輩について、知らな過ぎると思う。
だから…… 練習の休憩時間。 愛川先輩に、木下先輩のことについて聞いてみた。
本当は、木下先輩に直接聞いてみたかったが、あいにく側にはいなかったから聞くことが出来なかった。
「木下先輩っとどんな人なんですか?」
「普通の女の子だよ」
あれは、普通以上だ。
悩殺スマイルを受けたら、誰しもが恋に落ちる。
「まおと前田くんって本当に仲が良いから」
「知っています」
そんなの、二人を見ていたら誰もがわかること。
「でも、あの二人って“付き合ってない―――” んですよね?」
「――― ッッ」
愛川先輩が少し、顔を歪めた。
やっぱりだ。 あの二人は、恋人同士ではない。
ただ、仲が良いだけ。
「だったら俺にも“チャンス―――” ありますよね」