− 夏色模様 −
俺は再び練習に戻った。
前田先輩が、最初俺らに指導してくれていたが、そこに平本先生も加わった。
桐谷先輩は、1年生を指導している。
「腕を伸ばして――― なるべく腰を落として」
「はい―――」
“恋のライバル”だけど…… 憧れの前田先輩の指導が受けられることは、素直に嬉しい。
「10分休憩ー」
愛川先輩が声をあげた。
休憩の度に、水分補給を忘れてはいけない。
コップにお茶を入れ、飲み干す。
「あー、いいなー」
誰かが声を上げた。
内容が気になり、俺は当たりを見回す。
「前田先輩と木下先輩って、付き合っているのか?」
あんな二人を見たら…… 誰だって同じようなことを思うだろう。
「いっくん、タオルー」
「あっ、サンキュッ」
木下先輩が、前田先輩専用のタオルを渡した。