− 夏色模様 −




俺は再び練習に戻った。


前田先輩が、最初俺らに指導してくれていたが、そこに平本先生も加わった。


桐谷先輩は、1年生を指導している。


「腕を伸ばして――― なるべく腰を落として」


「はい―――」


“恋のライバル”だけど…… 憧れの前田先輩の指導が受けられることは、素直に嬉しい。



「10分休憩ー」


愛川先輩が声をあげた。


休憩の度に、水分補給を忘れてはいけない。

コップにお茶を入れ、飲み干す。


「あー、いいなー」


誰かが声を上げた。


内容が気になり、俺は当たりを見回す。


「前田先輩と木下先輩って、付き合っているのか?」


あんな二人を見たら…… 誰だって同じようなことを思うだろう。


「いっくん、タオルー」


「あっ、サンキュッ」


木下先輩が、前田先輩専用のタオルを渡した。




< 215 / 300 >

この作品をシェア

pagetop