− 夏色模様 −
「俺、好きなヤツいるから」
「……」
「今はそいつしか考えられないから、それ以外は無理」
…… かっこいい。 前田先輩って、一途なんだ。
隣に立つ、木下先輩は顔を赤くして俯いている。
「前田先輩…… かっこいいっス」
「…… はっ!?」
「一途に想う前田先輩って、かっこいいっス! 俺、前田先輩を目指してこれから頑張ります!」
「お、おう……」
誰もが前田先輩に憧れるはずだ。
つーか、前田先輩の想い人って誰だ? やっぱり木下先輩だよな。
さっきから木下先輩は俯いてばっかり。 木下先輩は、前田先輩の想いを知っているのか?
「前田先輩、俺に彼女って出来ますかね?」
なぜか、休憩時間が恋愛相談になっている。
まあ、前田先輩の恋愛観も知れたからいいけど…… 俺的には、木下先輩のが聞きたかった。