− 夏色模様 −
1日目⇒ 忘れ物。
今日の練習が終わって、旅館に戻った。
汗でベタベタな体を流すため、大浴場に向かった…… が。
「やべー」
「どーした、雄飛?」
「体育館にタオル置いてきちまった」
ったく、最悪だな。 洗濯しなきゃ明日使えねーし。
取ってくるか……。
「ちょい、行ってくるわ」
着替えだけ浴場に残し、体育館に向かう。
「――― ちがうよー」
ん? 体育館から声が聞こえる。 女の人の声だ。
声の主が気になり、ゆっくり近づく。
「もう、バカッ!」
「はぁ? ちげーし」
前田先輩と…… 木下先輩だ!
俺のタオルは、体育館の中にある。
ステージの上に置いてあるから、二人の前に出ないと取りに行くことが出来ない。
…… どうしたものか。
「いっくーん」
「なんだよっ」
「呼んだだけー」