− 夏色模様 −
1日目⇒ 本当の気持ち。
“――― ギュッて、して?”
“――― 甘ったれ”
昼間みた二人の光景が目に焼き付き、二人の会話が耳の奥でこだまする。
何度もいう。 前田先輩には彼女はいない。
でも、好きなヤツがいる。
その相手は“木下先輩―――”
これは間違いないだろう。
木下先輩の嬉しそうな表情を見ていたら、すぐに分かる。
木下先輩も前田先輩が、好きだ。
両想いな二人…… なのに、どうして付き合わないんだ?
やっぱり、木下先輩が耳が聞こえないことが引っ掛かっているのか?
「…… わっかんねー」
寝静まる5人部屋。 俺は小さく言葉を吐く。
気になることが多すぎて、眠れやしない。
何度寝返りを打っても無理。
俺はそっと…… 部屋を抜け出した。