− 夏色模様 −




隣から視線を感じた。


ちらり、視線を移した。


「――― ッッ」


俺も馬鹿だよな。 懲りればいいのに……。


「あっ、木下先輩。 今、前田先輩のこと考えていませんでした?」


「えっ、違うよ」


木下先輩は、無意識かも知れないけど前田先輩のことを考えているとき、少し目が細くなる。

そして、口角が少し上がる。


今の木下先輩は、そんな表情をしている。




「そう言えば……。 愛川先輩って、どうしたんですか? 昨日、なんだか調子悪いみたいでしたよね?」


本当に俺の入る隙が無くて…… 悔しくて……。


「やっぱりあれかなー、原因って……」


少しだけ意地悪をした。


愛川先輩の様子がおかしかったのは確か。

でも、木下先輩に相談していないみたいだから…… 好都合。


ちょっと利用させてもらう。




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