− 夏色模様 −
「ちょっと木下先輩とお話したいなーって思ったんです」
「別にそれって、夜じゃなくてもいいんじゃねーの?」
怒っているのか?
それとも、俺が木下先輩に接触したから嫉妬しているのか?
正直、俺としたらどちらでもいい。
前田先輩は前田先輩で、きっと…… 俺の気持ちに気づいていたはずだ。
この合宿の数日前…… とか、そんなものではない気がする。
ずっと…… ずっと前から気づいていたはずだ。
「つーか、部員は9時には消灯だろ? そんな遅くにまおが西村んとこにいたほうが問題だ」
何言ってんだよ。 自分だって、昨夜は木下先輩と一緒にいたじゃん。
自分は良くて、俺はダメだって言うのか?
なんだか無性に腹が立ってきて…… 気づいたら口走ってしまった。