− 夏色模様 −
こうやって言ってしまう前田先輩はどこまでもかっこよくて…… 俺の憧れだ。
「でも、その言葉の真意をお前に教える気は無い」
どれだけ木下先輩を想っているのか……。
どれだけ木下先輩を大切に想っているのか……。
痛いくらいに伝わって来る。
「西村、さっさっと部員のとこに戻れよっ」
「はい……。 わかりました」
俺は、4人の前から立ち去る。
木下先輩の表情は、ずっと泣きそうだった。
木下先輩は木下先輩で、前田先輩が好きだから、俺の“あの言葉”は衝撃的だったにちがいない。
本当は、こんなことをしたいんじゃなかった。 ただ、少しでも木下先輩に近づきたかった。
話してみたかった―――。
俺の気持ちはどうやら…… 間違った方向に向いてしまったみたいだ。