− 夏色模様 −

3日目⇒ 自分自身の気持ち。





「つっかれたー」


今日で練習が終わる。 今日の練習では、前田先輩とも、木下先輩とも話していない。


俺ら…… 2年生の指導は主に、平本先生と桐谷先輩がやってくれた。


体育館の片付けを終え、ぞろぞろと旅館に戻る。


「西村っっ」


「…… はい」


何気なく…… 振り向いた。


「――― ッッ」


振り向いて、心臓が大きく跳ねる。


「ちょっと、いいか?」


「…… はい」


桐谷先輩が、立っていた。


どうして俺を呼んだのかわかるから、スッと背筋を伸ばして近づく。


「わりーな、早く帰りたいとこ呼び止めて」


「いえ……」


ドクッ ドクッと、激しく心臓が動く。


これから何を言われるのか、自分自身でわかるから背中に汗が伝った。




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