− 夏色模様 −
3日目⇒ 好きだからこそ。
旅館に着いたはいいが……。
「なあ、捺稀。 前田先輩って殴るようなタイプか?」
「はあ!? そんなもん知らねーよ」
俺が前田先輩に言いたいこと。 “それ”を伝えたら、絶対に殴られるだろう。
できれば、痛く無い方が嬉しい。
「まあ、前田先輩とはこの後会えるんだし……。 さっさっと準備しろよっ」
「へいへい」
夕飯も食べ終わった。 3日目の夜は、みんなで庭で花火をする。
もちろん、前田先輩も木下先輩も参加だ。
俺の気持ちを二人に伝えなくては……。
俺は重い腰を上げ、立ち上がった。
「雄飛っー、おせーよっ」
「わりぃ、わりぃ」
庭に行くと、もう部員らが花火を始めていた。
俺も友達から花火を受け取り、火を付けた。