− 夏色模様 −
辺りは青や緑に光輝いている。
そんな中、誰かが声を上げた。
「なあー、前田先輩と木下先輩は?」
「桐谷先輩たちといるんじゃねーの?」
「それが、見当たらないんだよ」
へっ? あの二人はいないのか?
どこに行ったんだ?
「あーあ、木下先輩と話したかった」
「俺も、俺もー」
木下先輩の近くには、いつも誰かがいて話せるような雰囲気では無かった。
近付くことも許されないような感じだった。
前田先輩は、前田先輩で近付く後輩たちに睨みを効かせていたり……。
「桐谷先輩……」
俺はそっとみんなから離れ、桐谷先輩に近づいた。
「どうした、西村?」
「前田先輩と、木下先輩はどこにいますか?」
静かに話すには、今しか無いと思った。
みんな花火に夢中だ。
「樹とまおちゃんは今、一緒にいるんだ」
「――― えっ」