− 夏色模様 −
3日目⇒ 先輩のムネのウチ。
二人でなにも言わずに、ただ座っている。
重い空気が俺らを包む。
「まお、昨日のあんまり気にしていないから」
「あっ、はい。 …… 昨日は、スイマセンでした」
あんなこと、言いたくなかった。
でも、気づいたら…… 遅かった。
憧れの前田先輩を傷付け、好きだった木下先輩まで傷付けた。
「いやっ、西村が言ったことは間違いでも無い」
「違いますっ! 俺が悪いんです」
俺があんなことを言わなければ良かったんだ。
前田先輩の気持ちや、木下先輩の気持ちには薄々気がついていた。
二人の醸(カモ)し出す空気だって、お互いを想い合っている空気そのものだったのに……。
「西村が言ったように、俺とまおは、付き合ってない。 ただの“幼なじみ―――”」
「でも前田先輩は、木下先輩を……」
前田先輩は、迷うことなくはっきり言った。
「あぁ、好きだ―――」