− 夏色模様 −
ほらっ、前田先輩はこうやって堂々と言う。
悔しいけど――― 俺に勝ち目なんて無い。
「前田先輩が木下先輩を好きなのは、見ていたらわかります」
「ハハッ、そうだよな」
「そうですよっ。 わざわざタオルケットを掛けてあげたり、日光避けにタオルを貸したり……。 あんな事するのは、木下先輩だけ…… ですよね?」
チラッと、隣を見上げる。
「当たり前。 俺が昔っからあんなにまおに気に掛けてやっているのに、アイツ……。 まおは、高2のクリスマスまで気づかなかったんだぜ?」
初耳だ。 誰だって、あんな前田先輩を見ていたら気づくはずだ。 なのに、木下先輩は気づかないなんて……。
木下先輩は、相当の天然キャラなんだろうか?
「まおは……」
前田先輩が遠くを見つめながら、話し始めた。