− 夏色模様 −




俺が、疑問に思っていたことを見破ったかのように、話してくれた。


正直…… 木下先輩が、前田先輩の“彼女”だったら俺は。


「お前はそれでも、まおを好きんなっていた」


「そう、なんですか?」


「あぁ、西村は…… まおを好きになるよ」


その根拠がいったいどこからあるのかわからない。 でも、俺は…… 木下先輩を本当に好きになったんだろうか?


こんな“仮定”の話しをするのは、無意味とわかっている。

それでも…… 未練がましく、してしまう。




「木下先輩のこと…… ずっと、気になっていました」


「知ってた。 …… “あの時”から、だろ?」


前田先輩の指す“あの時”とは……。


「俺が、ケガした時に先輩が代わりに出た試合の時からです」


“やっぱり……”

そう、小さく声にした。


あの時、木下先輩に助けてもらったのがきっかけだ。

あれが無かったら、きっと…… 木下先輩の存在を知らずにいただろう。




< 252 / 300 >

この作品をシェア

pagetop