− 夏色模様 −
俺が、疑問に思っていたことを見破ったかのように、話してくれた。
正直…… 木下先輩が、前田先輩の“彼女”だったら俺は。
「お前はそれでも、まおを好きんなっていた」
「そう、なんですか?」
「あぁ、西村は…… まおを好きになるよ」
その根拠がいったいどこからあるのかわからない。 でも、俺は…… 木下先輩を本当に好きになったんだろうか?
こんな“仮定”の話しをするのは、無意味とわかっている。
それでも…… 未練がましく、してしまう。
「木下先輩のこと…… ずっと、気になっていました」
「知ってた。 …… “あの時”から、だろ?」
前田先輩の指す“あの時”とは……。
「俺が、ケガした時に先輩が代わりに出た試合の時からです」
“やっぱり……”
そう、小さく声にした。
あの時、木下先輩に助けてもらったのがきっかけだ。
あれが無かったら、きっと…… 木下先輩の存在を知らずにいただろう。