− 夏色模様 −




「似てますよ、本当に……」


木下先輩は、前田先輩の事を考える時。 いつも決まって、同じ表情になる。

目を細め、口角を上げるんだ―――。


前田先輩も今、その表情をしていた。


「まおと同じって…… この世の終かも」


「大袈裟ですって」


片手で頭を抱えているけど、どこかその声色(コワイロ)が嬉しそうだ。


「さて……」


残りの飲み物をゴクッと飲み干し、前田先輩が立ち上がった。


「俺の話しはもう終りだ。 俺、部屋に戻るけど…… どうする?」


「あっ、俺も行きます」


今更花火をやろうなんて思わない。

だったら部屋に戻って、テレビでも見るか……。


先を歩く前田先輩の背中を追って、走り出した。




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