− 夏色模様 −
庭に向かって、走り出す。 せっかくもらえたチャンスだ。 無駄にするわけには、いかない。
頭にタオルを乗せ、日陰のベンチに座る木下先輩を見付けた。
「木下先輩っ!」
「――― !」
俺が呼び掛けたのが相当驚いたのか、振り向いた木下先輩の目が大きく見開いていた。
そんな姿も、カワイイと思う俺は相当重症だと思う。
「隣、いいですか?」
右半分が空いていた。
小さくコクリと頷き、許可が下りた。
俺は“おじゃまします”と、小さく言い隣に座った。 …… さて、何から話そうか。
「……」
「……」
それは、無言から始まった。
タイムリミットは、10分間。