− 夏色模様 −
しばらく歩いて…… 振り向いてみた。
「――― ッッ」
二人の距離が、近い。
口が動いているのは…… 確認できる。
何かを話している?
でも、顔が近く…… おでこが当たってしまいそうだ。
こんなこと、あの二人じゃないと出来ないんだろうな。
何も見なかったフリをして、俺は足を進めた。
唇を噛み締めているのは…… 俺だけが知っていればいい。
ポケットに入っているケータイで時間を確認する。
まだ、集合まで時間があるな……。 ちょっと寄り道。
ここは、人通りの少ない廊下。
俺の足音を響かせて、俺が向かった場所。
男子トイレ―――。