− 夏色模様 −
“ただいま清掃中”と言う立て札を見つけ、ドアの前に掛けた。
辺りを見回し、誰もいないことを確認する。
そっと…… 中へ入った。
カチャッと、ドアが締まると同時に、俺の目から…… 涙が溢れてきた。
なんでだろうな? 木下先輩のことは、マジで好きだ。 …… もちろん、今だって好きだ。
でもそれは“先輩”として好きなわけなのに……。
「どーしてだよっっ」
どうして、涙なんて出てくるんだ。
木下先輩をいくら想っても、叶わないのはわかっているのに……。
木下先輩は先輩として好きだったのに……。
「涙なんて、出てくるなよ」
分けわからないけど、涙が止まらない。