− 夏色模様 −
「なにが“秘密”だって?」
頭上から不機嫌そうな声が降ってきた。 こんな不機嫌な声を出すのは…… 一人しかいない。
「あっ、いっくん。 お疲れ!」
「どーも。
…… んで? なにが“秘密”なんだ?」
「んー、内緒ー! いっくんには、絶対内緒だから!
じゃあね、西村くん。 “さっきの”お願いね」
「あっ、待て! まおっ!」
嵐のような、木下先輩だ。
逃げ足が早く、前田先輩から逃げたようだけど……。
「あっ、捕まった」
逃げ回ったが、前田先輩に捕まった。
「木下先輩って、話してみると見た目と違うな?」
そっか、捺稀は木下先輩と話すのは初めてか……。
話してみたらわかるが、どうしても木下先輩は年相応に見えない。
そこも木下先輩なんだと言ったらそうなんだろうが……。