− 夏色模様 −




秋には新人戦が待っている。

しっかり結果を残さねーと。


「捺稀、行くぞッ」


「――― おうっ」


合宿が終わる。

それは、俺の長いようで…… 短かった“片想い”も今。

――― 終わろうとしている。


「おーいっ、集合しろー!」


バスに乗り込む前。 旅館の方達に挨拶をして、バスに乗り込む。


次、バスを降りたら…… 俺の恋は終わりにしよう。


次に恋、するのは……。


「捺稀…… 俺。 しばらく“バスケ”に恋、しようと思う」


「当たり前だろ? お前はキャプテンなんだから」


ハハッ、そうだよな。 俺は、バスケ部のキャプテン。


先輩たちの築いた功績を、俺らの代で汚すわけにはいかない。


バスから空を見上げた。


青く澄んだ、空。

輝く太陽。


それは、俺の背中を押してくれるような夏の空―――。




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