− 夏色模様 −
第4話:片想い王子さまの、ムネのウチ。

チケットの秘密。





「樹、頼むっ! バスケの合宿で、俺のサポートしてくれ」


夏休み前のある日。 陽太に頼まれたわけだが……。


「いやだ、断る」


当然、俺は断った。

陽太と合宿に参加するくらいなら、家で過ごす。

もしくは、まおと遊ぶ。


「なぁー、樹。 …… 頼むよ」


いくら“親友”の頼みだとしても、面倒にも程がある。


「まおちゃんも誘っていいから!」


「……」


まおも誘っていい。 少し頭を悩ます。


でも、バスケ部ってことは…… 男子ばっかり。

あんな中にまおを放り込んだら。


「それでも、行かない」


まおの身の危険を感じる。


野郎どもの中に、あんな能天気なバカを放り込むわけにはいかない。


「そうだ!」


陽太が、なにかひらめいたように声を上げた。




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