− 夏色模様 −




どうして、あたしに“好き”って言ってくれないね?


去年は、あたしに“――― 好き”って言ってくれたよね?

もうあたしが好きじゃない?


「――― んっ」


桐谷からのキスが降ってきた。


キスだけじゃ、イヤ。

あたしは、言葉が欲しい……。


あたしに“好き”って言って、安心させてよ―――。

あたしを離さないで―――。


ねぇ、桐谷―――。


桐谷は一体……。 誰が好きなの?


不安を掻き消すかのように、あたしは桐谷に強く抱き着いた―――。




< 29 / 300 >

この作品をシェア

pagetop