− 夏色模様 −




狭いアパートだ。 陽太を俺の部屋に押し込め、俺は適当にお茶などを用意する。


部屋を開ければ、物珍しそうな顔して立つ陽太がいる。


「なにしてんだよ……」


「いやっ、樹の部屋とか全然想像出来無くてな、優とどんな部屋か話していたんだ」


なんつーことを話しているんだ…… 全く。

まお曰く、俺の部屋は“シンプル”らしい。

机に本棚、ベット、クローゼット。

こんだけあればなんとかなる。

アパートって事もあるから、余計に荷物は少ない。



「ほら、座れよ。 簡単なモノしかねーけどな」


苦笑いを浮かべ、陽太に座るように促す。


陽太は陽太で、俺が持ってきた菓子を見て苦笑いしている。


「この菓子って……」


「まぁ、まおの…… 好み?」


俺ん家の菓子は、基本的にまおの好みで買ってある。




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