− 夏色模様 −




「何があったんだ?」


「はっ? 勉強が ……」


「お前、そんなに勉強で困ったことねーだろ」


点数だって、俺と似たか寄ったか。 五分五分だ。


「んで、なにしー来た」


「ハハッ、やっぱ樹は流されねーか」


俺をバカにすんなっ。 陽太の言葉にまんまと騙されたが、これ以上は騙されない。


「いやさ、ただ樹の部屋が見てみたいってのはマジだ」


あっそ。 こんな部屋を見たっておもしろくも無い。 んで…… 続きは?


「あとは、まおちゃんって案外来てんのかなーって思ったくらい。 見た感じ…… まおちゃんの私物らしいものは無いんだな」


当たり前だ。 ここは、まおの家では無く、俺の家。

まおの私物なんて、あるはずが無い。 …… 無いんだけどな。


「あのクッションは?」


「…… 俺の」




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