− 夏色模様 −




“遠慮”という言葉を知らないまおは、俺が用意したマシュマロを封を切り、食べはじめた。


まあ、別に……。 まおにあげるために持ってきたからいいけどよ。


「まおちゃんは、よく樹ん家に来るの?」


「うーん、あまり来ないかな? 普段、学校で会っているから……」


嘘だ、絶対嘘。

課題が分からなくて、時間なんてお構い無しに来るヤツが何を言うか。


まおの体が冷え切る前に、ジャケットとタオルケットをまおに渡した。


“ありがとう”と言い、俺に笑いかけてきたから…… さっきのは、よしとしよう。




「あっ、いっくんたちコーヒー終わるね。 新しいのいれてきてあげる」


マシュマロを頬張っていたと思ったら突然“コーヒー”

気が利くんだろうけど…… 突発的だな。


カップを両手に持って、部屋を出て行った。


まおが居なくなった…… と、言うことは。

必然的に、陽太と二人っきり。




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