− 夏色模様 −
まおがやってきた。
まおには、旅館で昨日使ったタオルを洗濯して、干しておくように頼んであった。
「まお、お疲れ。 どうだった? 大変だった?」
「ううん、大丈夫だよ。 洗濯しているときに、バスケ部の人に少し手伝ってもらったの!」
…… えっ?
バスケ部の人に手伝ってもらったの?
あたしも桐谷も、まおのその言葉に小さな疑問と……。 不安が生まれた。
だって……。
今日、旅館に残っていたの“まおだけ”のはず。
まおを残して、あたしが最後に旅館を出たはずなのに……。 誰がまおを手伝ったの?
「まお、終わったのか」
「いっくん、お疲れ」
桐谷と前田くんは、部員を連れて、あたしより早く出た。
旅館の最終確認は、あたしがやって出てきて……。 その時は、誰もいなかった―――。
だったら、誰?
誰がまおを手伝った?