− 夏色模様 −




まおがやってきた。


まおには、旅館で昨日使ったタオルを洗濯して、干しておくように頼んであった。


「まお、お疲れ。 どうだった? 大変だった?」


「ううん、大丈夫だよ。 洗濯しているときに、バスケ部の人に少し手伝ってもらったの!」


…… えっ?

バスケ部の人に手伝ってもらったの?


あたしも桐谷も、まおのその言葉に小さな疑問と……。 不安が生まれた。


だって……。

今日、旅館に残っていたの“まおだけ”のはず。

まおを残して、あたしが最後に旅館を出たはずなのに……。 誰がまおを手伝ったの?



「まお、終わったのか」


「いっくん、お疲れ」


桐谷と前田くんは、部員を連れて、あたしより早く出た。

旅館の最終確認は、あたしがやって出てきて……。 その時は、誰もいなかった―――。


だったら、誰?

誰がまおを手伝った?




< 34 / 300 >

この作品をシェア

pagetop