− 夏色模様 −




わからない、わからない……。

いくら考えたとしても、わからない。


今のまおに変な不安を与えたくないのに……。

全く、わからない。


前田くんとじゃれあっているまおは、至って普通。

西村くんに変なことを吹き込まれた様子は全く見当たらない。




「まおちゃん……」


「ん、どうしたの? 陽太くん」


桐谷も疑問に思ったのか……。 まおに声をかけた。


「バスケ部の人って、誰が手伝ってくれた?」


「名前はわからないけど……。 2年生だって言っていた」


――― 2年生。

2年生なら、西村くんのいる学年だ。


「なんか……。 陽太くんほど背が高いわけじゃないけど……。 だいたい、いっくんくらいの身長で、前髪を上げていたよ」


前髪を上げている部員―――。

そんな目立つ格好している部員は……。 一人しかいない―――。




「あっ、木下先輩。 お疲れ様ですっっ!」




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