− 夏色模様 −
見られた……! 昨日の夜中。 前田くんとロビーにいる所を見られていたんだ。
でも……。 疚(ヤマ)しいことは、何も無い。
「だったら、別に俺が木下先輩と話そうが悪いことじゃないと思います」
「ダメに決まってんだろーがっ。
仮にもまおは、女の子だ! 男の部屋にノコノコ行かせる気は無い」
いやいや、まおは女の子だから!
それに、まおだってバカじゃないから、西村くんの部屋には行かないって!
「別に行くか行かないかを決めるのって、前田先輩じゃないと思います。 前田先輩は、木下先輩の“彼氏”じゃ無いはずですよね?」
今の前田くんには、一番痛いところを付かれた。
好きだけど……。 付き合っていない二人には、この言葉は一番痛い。
「木下先輩、今夜……。 来てくれますよね?」
「えっと……」