− 夏色模様 −
まおの様子もなんだかおかしい……。 前田くんにこれ程まで西村くんは言われているのに……。
まおはどうして断らないの?
「木下先輩と前田先輩は付き合っているんじゃなくて、ただの“幼なじみ”なんだから、別に俺と木下先輩が会っていても問題は無いですよ!
どちらかと言ったら……。 前田先輩が愛川先輩と二人で会っている方が問題ですから」
「ちょっ! それは」
それは、たまたま夜眠れなくてロビーに行っただけで……。 前田くんとは、本当に何もなかったんだから。
っていうか……。 まおしか見ていない前田くんとあたしがどうこうなるはずが無い。
「でも、お互い“好き”って……。 言っていましたよね?」
「――― ッッ」
西村くんのその、勝ち誇るような笑いは―――。 あたしは、嫌いでしょうがない。