− 夏色模様 −
2日目⇒ 逃走。
「あぁ、言ったよ。 “――― 好き”だってな」
「――― !!」
ちょっと前田くん! そんなこと、言っていいの?
今の状況下なら、前田くんがあたしを“好き”って言ったような感じになるんだよ?
前田くんが好きなのは、まおでしょ?
「ほらっ、やっぱり……」
「でもなー」
西村くんの言葉を前田くんは途中で遮った。
「でも、その言葉の真意をお前に教える気は無い」
…… 抜かり無いヤツ。
“好き”の本当の意味―――。
それは、誰よりも好きな“まお”に当てた言葉だから……。 まおだけに言いたいわけだ。
苦虫を噛んだように、顔を歪めている西村くんには……。 もう、勝ち目は無い。
「西村、さっさっと部員のとこに戻れよっ」
「はい……。 わかりました。
でもっ!」
西村くんは、まだ続けた―――。