− 夏色模様 −
「あのねっ……」
ずっと……。 ずっと、ずっと言いたかった。
聞きたかった。
「桐谷は……。 まおが好き?」
「はぁ!?」
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。
「桐谷って……。 まおを“まおちゃん”って呼んでいるから……、好きなのかなーって」
「俺に言いたいことって……。 そんなこと?」
“そんなこと?” 桐谷にとっては、小さいことかもしれないけど。
あたしにしたら、大きいことなの!
大切なこと―――。
「ねぇ、教えてよ」
お願い。 嘘でもいいから“嫌い”って言って。
“好きじゃない” そう言ってよ。
そうでないと―――。 あたしが、辛いんだよ。
「まおちゃんだろ?
…… “好き”に決まっているだろ」
「……」
桐谷は、あたしより……。 まおが好きなんだ。