− 夏色模様 −




「そうだろ? 俺って“姉貴”しかいねーから、妹とかって結構憧れだっんだよ、昔から。

だから、まおちゃんは俺からしたら“妹”なわけ」


…… へ?

桐谷って、お姉さんがいたの?


あたし、知らなかった。


この1年。 何度かお互いの家に行ったことはあったけど……。

桐谷の家に、お姉さんがいたことがあった?



「今、姉貴は県外の大学にいるから滅多に帰ってきてねーの。 だから、愛川が会ったこと無いのは当たり前だ。
樹だって、まおちゃんだって知らねーんじゃね? 俺に姉貴がいるのって」


「あっ、そうなんだ……」


へへっ。 じゃあ、あたしが1番最初に聞いたって事になるんだ。

それは、嬉しいかも。


でも……。 今、問題にしなくてはいけないのはこれではない。


「まおは……。 妹として、好きなの?」


「そーだけど?」




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