− 夏色模様 −
2日目⇒ 名前を呼んで。
「で―――。 まだ、言いたいことがあるんだろ? 愛川を見ていたら、わかるから」
もう、名前とか……。 どうでもいいけど。
今なら簡単に言えるような気がする。
「あたしを、“優”って呼んで―――」
「――― !」
あたしが彼女なら、桐谷には“優”って呼んで欲しい。
でも……。 無理には呼んでもらいたくない。
「“優”って、呼んでいいのか?」
「うん、いいよ。 だって、桐谷はあたしの“――― 彼氏”だもん」
温かい腕の中から、そっと桐谷を見上げた。
「――― 優」
「―――」
なんとも言えない温かさに、包まれる。
「優、優……」
「そんなに、呼ばないでよっ」
「いいだろ? 別に」