− 夏色模様 −




しばらく……。 桐谷と名前を呼び合っていたら。

不意に、思い出した。


「あのねっ!」


「ん? どーした」


「あたしが前田くんに言った“好き”なんだけどね」


昨夜の“好き”の言葉の意味をちゃんと教えなきゃ!

あたしが言った“好き”の意味は……。


「まおちゃん、関係だろ?」


「…… へっ?」


あれっ? あたし、説明したかな?

言っていないはずだけど。


「樹が“好き”なんて言葉を使うのは、ほとんどがまおちゃん関係なんだ。 だから“まおちゃん関係だな―――” ってすぐにわかったから」


スッゴ! 当たっている。

どこも間違っていない。


「今から樹の部屋に行ってみるか? どーせ、あの二人のことだよ。 部屋でなんかしているよ」


ハハハッ。 まおが体育館を出て行ってから、前田くんは必死な顔して追い掛けていたもんな。


「仲直り、しているよね?」


「当たり前だろ」




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