− 夏色模様 −
陽太と前田くんはコートに戻った。
前田くんがコートに戻ったのを確認すると、ちょこちょこと……。 まおが近づいてきた。
「優ちゃん」
「どうしたの?」
「陽太くんって……」
ここまで言って、まおの顔が赤く染まった。
そして、赤く染まったと思ったら、辺りを確認してあたしの耳元に近付いて―――。
「陽太くんって、キスマーク。 付ける?」
…… はっ?
キスマークって、あの“キスマーク”だよね?
「……」
一瞬、まおの言った意味が分からず。 頭が固まってしまったが……。
「キスマーク!!」
「シーッ、シーッ! 優ちゃん、声が大きいから」
そりゃ、声だって大きくなるって!
まおにキスマークを付けられるのは……。 前田くんだけだ。