− 夏色模様 −
「ちゃんと仲直りしなさいよ?」
「でも、恥ずかしい……」
「キスマークなんて……。 見当たらないよ?」
まおが気にしているみたいだから、教えてあげるけど……。
キスマークなんて見当たらない。
本当に“キスマーク”なんて、付いているの?
前田くんのことだから本当はつけていないけど、まおに“キスマーク付けた”とか言ったんじゃないかな?
「服で隠した」
あっ、マジでついているんだ……。
ちゃんと前田くんも“男の子”だったんだ。
「それなら、気にする必要ないじゃん」
「それでもっ!」
目をウルウルさせて、顔を真っ赤にして……。 こんな可愛いまおの表情。 初めて見た。
「~~~ ッッ」
今、この瞬間。 どうして、前田くんがまおをいじめるのか良く分かった。
まおの大きな目に涙が貯まって、それを堪える表情は……。 ヤバいくらい、可愛い。
女のあたしまで、ドキドキする。
「頑張って仲直りしな?」
「優ちゃーん」
しょうがない。 きっかけを作ってあげるか。