− 夏色模様 −

3日目⇒ 花火。





* * *


「サンキューな、愛川」


「いーえーっ! 前田くんが普通の男の子って分かったのでこれくらいお安いですよっ!」


まおの“キスマーク”を聞いて、前田くんも普通の男の子なんだなーって思った。


いつも……。 誰よりもまおの近くにいて、まおに一切手を出していない前田くんは“…… 本当に男の子なんだろうか”と疑問に思った事が度々……。

でも、今日!
まおに“キスマーク”を残したって聞いて、一安心。



「ついでだから……。 まおを押し倒しちゃえば? これから数時間は、みんな旅館の外だからバレ無いよ?」


「あほかっ。 いーから、叩けよっ!」


今は……。 まおの部屋の前。

まおには“後で呼びに行くね!”と言って、部屋で待機させている。


だから、あたしがドアを叩くと―――。


「あっ、今から開けるねー」


まおの可愛い声が、聞こえてきた。




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