− 夏色模様 −




「――― ッッ」


「あっ! 閉めんなバカッ」


前田くんがドアの間に足を挟んだ。


まあ、まおがドアを閉めたくなる気持ちが分からなくも無い。

なんせ、ドアを開けたら……。 前田くんが立っているんだもん。


「じゃっ、あたしは花火やりに行くから、まおは前田くんと仲直りしなさいよ」


残念ながら……。 最初から花火の頭数にまおは入っていなかった。

ゼンソク持ちのまおは、先生からも、前田くんから“花火禁止”って言われていたんだよね。

…… まおには、伝えていなかったけどね。


あたしが伝え忘れたのが、まおと前田くんの仲直りのきっかけを作ったのだから……。 よしとしよう。


あたしは勢いよく階段を駆け降りて、部員と陽太が待つ、中庭へ向かった。


「おーっ、やっときたか」


「うん、まおと前田くんを部屋に押し込んで来た!」




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