− 夏色模様 −




「前田くん、知りませんか?」


平本先生が後ろからやってきた。


ん? 前田くんを探しているの?

前田くんなら今頃、まおと一緒だけど……。


「さっき、前田くんの部屋に行ったけどいなかったんです」


「だったらまおの部屋にいると思いますよ? まおは花火出来ないんで、二人でいるはずです」


「あー、そうでしたね。 毎晩、前田くんの部屋に木下さん来ていたから、今も前田くんの部屋にいると思ったんです」


「……」


ちょっと、先生。 もしかして、まおが毎晩、前田くんの部屋にいるのを知っていたのに……。 知らない振りをしていたの?

消灯時間を過ぎて、わざわざ出入りしているのって、普通……。


「怒らないんですか?」


陽太も平本先生の言葉に疑問を抱いたのか先生の続きの言葉を待っている。




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