− 夏色模様 −
平本先生が旅館の中に消えて行くのを確認した。
「まさか、平本先生にバレていたとは……」
「だね。 あたしなんて、まおから話しを聞くまで部屋を抜け出していたの知らなかったよ」
まおから部屋抜けていた―――。 そう聞いたとき。 本当に驚いた。
律儀に規則を守るまおが規則を破る行為―――。 想像出来なかった。
それだけ前田くんの近くにいたかったのかな?
「俺は樹から聞いていたけど……。 あの二人、この合宿中に毎晩二人で部屋で喋って、そのまま一緒の布団で寝ていたらしい……」
「本当?」
わざわざ合宿まで来て、二人で何やっているの?
「信じられない」
「なんか、夏休みとか二人で会う時間が少ないんだと」