− 夏色模様 −
その時―――。
「優」
陽太に名前を呼ばれた。
「いつでも電話、していいから―――」
見上げた陽太は、真剣な顔。
「メールとか、普通に送信していいから」
「――― ッッ」
陽太だって、この夏休みは忙しいはず。
スポーツ推薦だから、実技試験の練習だってやらないといけないのに……。
あたしばかりに気を使っていたら、自分の練習が疎かになる。
「優が不安な時は、俺も同じだから……。 集中なんて、出来やしない」
そっか、陽太も不安。 なんだね。
だったら……。
「一緒、だねっ」
「あぁ、一緒だ」
たとえ、離れていたとしても……。
「気持ちは、いつでも一緒だから―――」
「なにそれっ、変なセリフ」
二人で顔を見合わせて、笑いあう。
顔が見えなくても、この気持ちだけは変わらない。