− 夏色模様 −
副顧問の平本先生が声を上げた。
相変わらず、副顧問は平本先生でバスケ部は楽しくやっているみたい。
春の大会で引退したあたしたちは、時々だけど……。 練習を覗きに行っていた。
もちろん、あたしはマネージャーの仕事をやったり……。 桐谷は、後輩にプレー指導をやっていたんだけどね。
「愛川、バスとか……。 まおちゃんと座れないけどいいか?」
ふらり、あたしの隣にやってきた桐谷がそう言ってきた。
まおの隣だったらそれはそれで楽しいだろうけど……。
「どうして?」
「たぶん……。 あれは、樹が離さねーだろうから」
ちらり……。 桐谷と同じ方に視線を移した。
なーるほど。
まおの隣には、まるで―――。 “番犬”のように立つ前田くんがいる。
「そんなに大切なら、連れてこなきゃいいのにね」