− 夏色模様 −
やばい、やばい。
いくら平本先生でも、ちゃんと“前田くん”“桐谷くん”って呼ばないとダメだよね。
「いいですよ、普通に呼んで」
顔を崩した平本先生が言った。
「“いっくん” “陽太くん”でも、ちゃんと通じるから大丈夫です。
木下さんは、マネージャーやりつつ……。 楽しんでください」
平本先生は、やっぱり優しい。
修学旅行でも、あたしといっくんをかくしてくれて……。 それも、他の先生には内緒にしてくれている。
「平本先生、いっくんを手伝ってあげてください」
「そうですねー、2年はレギュラーがほとんどですから」
どうして、いっくんが2年を教えているのか、さっぱりわからない。
でも…… どこか、顔が引きつっているようにも見える。
優ちゃんと…… いっくん。
どうしたのかな?