− 夏色模様 −
平本先生までいなくなってしまった。
だから、今はあたし1人。
「寂しいなー」
みんなバスケに夢中。
だから、誰も構ってくれない。
優ちゃんは優ちゃんでどこかに行って……。 戻って来なくなってしまった。
「つまらない」
「しゃーねーだろ? みんな忙しいんだから」
目の前に、黒い影が出来たと思ったら……。 いっくんが立っていた。
「お茶くれっ」
「ん、待ってね。 あっ、タオル…… はいっ」
いっくんにタオルを渡した。
青いコップにお茶を入れ、いっくんの元に戻る。
「はい」
「ん…… サンキュー」
グビッを飲むその姿……。 なぜか、ドキドキした。
「ありがとうな…… って、まお。 顔が赤いぞ? 体調悪いか?」
顔が赤いのは、いっくんがなんかカッコイイからっ!
お茶を飲み込んだ時のノドに……。 汗を拭う、その姿。
やばいよ、あたし!
この暑さでおかしくなっちゃった。