− 夏色模様 −




平本先生までいなくなってしまった。

だから、今はあたし1人。


「寂しいなー」


みんなバスケに夢中。

だから、誰も構ってくれない。


優ちゃんは優ちゃんでどこかに行って……。 戻って来なくなってしまった。



「つまらない」


「しゃーねーだろ? みんな忙しいんだから」


目の前に、黒い影が出来たと思ったら……。 いっくんが立っていた。


「お茶くれっ」


「ん、待ってね。 あっ、タオル…… はいっ」


いっくんにタオルを渡した。

青いコップにお茶を入れ、いっくんの元に戻る。


「はい」


「ん…… サンキュー」


グビッを飲むその姿……。 なぜか、ドキドキした。


「ありがとうな…… って、まお。 顔が赤いぞ? 体調悪いか?」


顔が赤いのは、いっくんがなんかカッコイイからっ!

お茶を飲み込んだ時のノドに……。 汗を拭う、その姿。

やばいよ、あたし!


この暑さでおかしくなっちゃった。




< 85 / 300 >

この作品をシェア

pagetop