− 夏色模様 −




「なっ、なんでもない」


「いやっ、真っ赤だし」


「いっくんのバカッ」


うぅ、もうあっちに行ってよっ。

こんな恥ずかしい理由なんて、言えないよ……。


いっくんからタオルを奪った。


「うわー、汗くさーい」


タオルで顔を隠そうとして、タオルを奪ったが、なんだか失敗した気分。

もっと“爽やか”な臭いがよかった。


「しゃーねーだろーがっ、バスケしてんだから」


「ハハッ、そうだねっ! 頑張って」


「おうっ」


片手を上げて、いっくんはまた練習に戻った。




「見たよー、まおっ!」


「ひゃっ! ――― 優ちゃん」


どこかに消えた―――。 と思っていた優ちゃんが戻ってきた。


それも、なんだか嬉しそうな顔しちゃって……。


あーあ、からかわれるんだろうな。




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