− 夏色模様 −
「前田くん見て、顔を赤くしちゃって」
「ちがうもんっ」
うわーん、優ちゃんはそんなところから見ていたの?
恥ずかしいよ。
「あんたたちは、本当に“バカップル”みたい」
「付き合ってないもん」
「まおー、いいこと教えてあげる」
優ちゃんがこう言うように、なんだか人をからかうような感じで話してくる時って、大抵良いことじゃない。
この雰囲気って、どこかいっくんに似ている。
「まおが“~だもん”って言うときは、嘘ついたり、照れたりする時だよ」
「――― ち、ちがうもんっ」
あっ!
「ほらー、また言った」
優ちゃんのバカーッッ!
さっきまで様子がおかしくて気になったけど……。
元気そうで、よかった。