− 夏色模様 −
「じゃあ、ゴールでも決めてみるか?」
「やるーっ!」
スリーポイントの位置から、数歩。 前に出る。
「絶対、入れるからねっ」
「はいはい、見ていてやるから」
絶対あたしが入れられないって思っている。
なんだかそうやって思われるのが悔しくて―――。 勢いよく放った。
「えいっ……」
バンッ バンッ バンッ―――。
「~~~」
「ハッハッハー」
ムカつくー! 悔しい。
ゴールに当たることなく、見事に外した。
あたしが外すと思っていたいっくんは、いまだに大笑い。
「いっくんだって、投げてみなよっ! 絶対入らないから」
「じゃあ、入ったらどうする?」
その自信あり気な言い方。
ほんっとーに、ムカつく。
バスケ部員じゃないいっくんなんだから、簡単にゴール出来っこない。